「アソコの匂いで悩んでいる女性、多いらしいですよ。」
5年ほど前、美容関係の知人から聞きました。膣の匂いが気になるために、膣の中まで指を入れてキレイに洗う人が多いとのこと。
「えぇ~っ!?」と思わず大声が出ましたが、撮影現場や講演、さらにはエステサロンなどでリサーチをしたところ、想像以上に多くてビックリ!膣の中までシャワーを入れたり、朝晩2回も石鹸で膣内を洗っている人が何人もいて、驚愕でした。
「どうしてそんなに洗うの?」と聞いてみると、「アソコの匂いが気になるから。」と異口同音。
たしかに自分の膣の匂いが気になったら、「何とかしたい」と思いますよね。
でも、ちょっと待って。もしかしたら「洗いすぎ」で、逆効果になっているかもしれません。
膣のガードマン「デーデルライン桿菌」
私たちの膣の中には、「デーデルライン桿菌(かんきん)」という乳酸菌が常在しています。デーデルライン桿菌は、膣内のグリコーゲンを食べて生きていますが、このとき、「おいしいごはんをありがとね〜」と、食事のお礼に「乳酸」を作りだします。この乳酸のおかげで膣内は強い酸性に保たれ、雑菌や病原体の侵入・増殖を防ぐことができ、これを「膣の自浄作用(じじょうさよう)」といいます。
つまり私たちはデーデルライン桿菌ととても良い関係を築いていて、食事を提供する代わりに、病原体・雑菌などから膣や子宮を守ってもらっているのです。
私たちの膣にはこんな頼もしいガードマンがいるにもかかわらず、シャワービデを頻繁に使用したり、膣の中まで念入りに洗浄すると、大切なガードマンまで洗い流してしまいます。デーデルライン桿菌がいなくなると乳酸が作られなくなり、膣内は酸性から中性へ傾き始めます。すると雑菌が増殖しやすくなるため、匂いのもとや膣炎になってしまうこともあるのです。
もちろん「不潔」は良くありません。ですが清潔にしすぎて常在菌まで洗い流してしまうと、結果的に雑菌の増殖を増やし、衛生を保てなくなってしまうのです。
洗いすぎて・・・
かくいう私も、そのような経験をしたことがありました。上京して移り住んだマンションが、温水洗浄便座のついていないトイレ。私は、ほどなく温水洗浄便座を購入しました。
すると、どうでしょう!トイレタイムがパラダイス!
「あぁぁぁぁ。温水洗浄って、なんて清潔でキモチイイの!」
久々の爽快感に嬉しくなってしまった私は、トイレのたびにビデを使うようになりました。そこから1か月ほどたったある日。
「オマタがカユイ!!!!!」
なんだろう?身に覚えがない。しかしカユミはおさまらず、仕方なく婦人科に駆けつけました。
「オマタの洗いすぎね。」
開口一番に言われた言葉です。毎回ビデを使っていると話したら、
「あなた、そんなことをしたら自分を守ってくれている良い菌まで流れちゃうわよ!オマタにはね、自分でバイキンをやっつける力があるの。ビデを使うのは、生理中など汚れが気になるときだけで大丈夫!」
ピシャリと怒られたなぁ。結局のところ、ビデをやめたら、あっという間に治りました。清潔のために温水洗浄を使うのは良いことですが、清潔にしすぎることは、自浄作用を弱めてしまうことになると実感しました。
日常は1日一回、石鹸やボディーソープは使わない!
私の場合、1日一回お風呂に入るときにシャワーで洗いますが、石鹸やボディーソープは使いません。ゴシゴシ擦ることもありません。顔を洗うときと同じように、優しく洗い流すだけです。
また、婦人科のお医者様と話す機会があると必ず聞くようにしていますが、
「オマタを洗うのに石鹸は必要ありません。生理の時だけは、気になるなら使っても良いですよ。」という先生ばかり。「石鹸をつけて、中に指まで入れて、とことん洗い流さないとダメですよ!」という先生に、私はまだ出会ったことがありません。
私たちの体には、たくさんの常在菌がいます。常在菌との関係性を知り、うまくバランスを保てると、何かに頼らなくても、自力でバリア機能はアップします。
今一度、自分を守ってくれている常在菌との関係性を見直してみると、心も体も快適に暮らすための大きなヒントになるかもしれませんね。
おかしいと思ったら、自己判断せずに必ず病院へ
とはいえ、もし「おりものがおかしい」「出血がある」など、いつもと違う症状があれば、自己判断せずに必ず病院へ行ってくださいね。洗いすぎが原因ではなく、思わぬ病気が潜んでいるサインかもしれません。受診して何もなければ安心できますし、万が一の場合も早期発見・早期治療がベストですから。
体のサインに耳を傾けてあげられるのは、自分自身だけ。
おかしいと思ったら、必ず早めに病院へ行きましょう!