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六車奈々『時間割美容 夜納豆と朝納豆その1 ~夜納豆、その効果はいかほど?~』

美と健康の大きな味方「納豆」。
あなたは、朝に食べる派?それとも夜に食べる派?

私は、少し前まではに食べていましたが、最近はに変えました。
理由は、現段階では朝の方が確実な効果を得られそうだからです。
その詳しい話は後にまわすとして、まず夜に食べる納豆にはどんなメリットがあると言われているのでしょう?

夜納豆は、血液サラサラの強い味方?

少し前まで私が夜に納豆を食べていた理由。それは、血液サラサラ効果です。
こちらをご覧ください。

これは「概日リズム」と言われるもので、私たちの意識とは関係なく体の中で起きている生理的機能の変化です。地球の自転(1日24時間)に合わせて、約24時間単位で生理的機能をプログラミングしています。ざっと書いてこの程度ですが、実際にはもっと細かい生理的なリズムがあります。

さて、人間の血液が一番ネバネバになるのはいつでしょう?
そう、朝の7〜8時ですね。明け方くらいが最もネバネバだという専門家もいらっしゃいますが、いずれにせよ朝ということがわかります。

 

実は、心筋梗塞や心臓性突然死は、起床後3時間までに発症しやすいことがわかっています。さらに脳梗塞やくも膜下出血、脳出血なども午前6時~正午までに多いことがわかっています。

では、どうして午前中に多くの病気が起きてしまうのでしょう?
原因はいくつかありますが、「血液がネバネバ」も関係しています。

夜、体が「休息モード」で眠っている状態から、朝起床して体が一気に「活動モード」になると、交感神経が急激に高ぶります。血圧は上がり、脈拍は増え、冠動脈や脳血管、心臓などに負担がかかっているときに、朝は血液がネバネバドロドロ。こうしたさまざまな要因が複雑に絡み合い、心臓や脳の病気が発症しやすくなると言われています。ですから昔の人は、「宝の水」といって、寝る30分前に飲むコップ一杯の水を飲んでいました。

 

 

驚異的な血液サラサラ効果!ナットウキナーゼ

では人間の血液が最もドロドロになる時間帯に、血液をサラサラにしてくれるものはないものでしょうか?

そこで登場するのが、納豆です。納豆に含まれるナットウキナーゼには驚異的な血栓溶解作用があり、その効果は8〜12時間続くと言われています。

つまり人間の血液が1日の中で最もネバネバで血栓が出来やすい時間帯に、ナットウキナーゼの血液サラサラ効果を最大限に発揮するためには、逆算して「納豆は夜に食べれば良い!」ということになります。

そこで私も少し前までは、「夜納豆」を時間割美容として食べていました。
ところがです。よく考えてみると、あることに気づきました。

 

納豆を食べた場合、体内でナットウキナーゼはどう働く?

ナットウキナーゼそのものに驚異的な血栓溶解作用があることは、研究結果でしっかりとわかっています。
ところが、です。「ナットウキナーゼ」は「酵素」です。「酵素」ということは「たんぱく質」なので、経口摂取して胃の中に入ると「アミノ酸」や「ペプチド(アミノ酸がいくつか繋がった状態)」に分解されます。

ではアミノ酸に分解された状態で、はたして実験と同じように血液溶解作用を期待できるのでしょうか?
さらに「アミノ酸」「ペプチド」に分解されなかったものがあったとしても、分子量の大きなナットウキナーゼが血中に移行し、血栓溶解作用を発揮することができるのでしょうか?

このことが、私の中で大きな疑問として残ってしまいました。

 

とはいえです。実は、コラーゲンも以前は同じことを言われていました。

「コラーゲンを食べても胃でアミノ酸に分解されるので、コラーゲンにはならない」

これは、正解です。事実、コラーゲンはたんぱく質なので、胃の中に入るとアミノ酸に分解されるため、食べたコラーゲンがそのままコラーゲンになることはあり得ません。

ところが近年の研究で、胃の中に入ったコラーゲンの一部が「ペプチド」という状態で吸収され、これが血中をパトロールしながら細胞などに対して「コラーゲンを増やせ!」などの指令を出すことがわかりました。つまり「コラーゲンを食べてもコラーゲンにはならないけれど、コラーゲンを摂ると、その一部がペプチドとして吸収され、コラーゲンが増える」ということになります。ややこしけどね(笑)
詳しくはこちらをご覧ください。

 

つまり話をまとめると、近い将来、コラーゲンと同じように「ペプチド状態」など何らかの形で消化吸収されたナットウキナーゼが、間接的に血液サラサラ効果に作用しているという研究が出てくるかもしれないなぁとも思っています。ちなみに調べてみると、海外も含め、いくつかの研究では、ナットウキナーゼを口から(経口)摂取しても、血栓溶解効果がありそうな結果も出ています。あとは、そのメカニズム含め、信頼に足るようなエビデンスが出てくることを待ちたいなぁと思っています。

ということで、ナットウキナーゼを経口摂取した場合も同様に血液サラサラ効果があると仮定するなら、
血液サラサラを望む人には、夜納豆がおすすめということになります。ちなみに納豆キナーゼは熱に弱いので、加熱しないで食べる方が良いですよ。

 

夜納豆から朝納豆へ

さて私はといいますと、健康番組の収録でお医者様からこのお話を聞いて以来、夜に納豆を食べていましたが、ある論文を読んでから朝に変えました。

 

理由は二つ。
上述のように、ナットウキナーゼの経口摂取効果に疑問の余地があること、
さらに最新の時間栄養学の研究で、「朝納豆」の方が私にとって魅力的な効果を期待できそうなことがわかったからです。

 

…と、ここまで色々とお伝えしてきましたが、大前提として、納豆には美と健康に嬉しい栄養成分が豊富に含まれています。納豆菌や良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、大豆イソフラボンなど、素晴らしい栄養素が体に良い効果を発揮してくれますので、基本的にはいつ食べても良いとは思います。
その中で、より「美と健康に良い時間」を考えた時の話として、次回は「朝納豆」のお話をしますね。

 

【参考文献】
日本醗酵工学会 「醗酵工学会誌」 67 (2), 126-127,(1989)
須見洋行 「納豆中の血栓溶解酵素ナットウキナーゼ」ART0003081626.pdf 2022年7月30日アクセス

「日本味と匂学会誌」 Vol.14 No,2 PP.129-136 (2007)須見洋行 「納豆の歴史と機能成分」https://www.srut.org/wp/wp-content/uploads/vol14-05.pdf 2022年7月30日アクセス

おかめ納豆サイエンスラボ「納豆キナーゼを発見した須見先生に聞く、発見秘話」
http://www.natto-science.jp/column07.html 2022年7月30日アクセス

大塚邦明(2012)『体内時計の謎に迫る』技術評論社

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