世の中にはたくさんの美容法がありますが、最も努力のいらない美容法ってなんでしょう?
エステ?
高級な美容液?
美顔器?
私は、ずばり「睡眠」だと思っています。
こちらをご覧ください。
概日リズム
これは「概日リズム」と言われるもので、私たちの意識とは関係なく、体の中で起きている生理的機能の変化です。ざっと書いてこの程度ですが、実際にはもっと細かい生理的なリズムがあります。
これを見ると、「深夜0時までに眠った場合」という条件はつきますが、深夜2時ごろには成長ホルモンが最も多く分泌され、深夜3〜4時ごろには皮膚の修復作業がピークに達します。
つまりこの時間にぐっすりと眠っているだけで、体の中では勝手にメンテナンスをしてくれるのです。肌荒れを治したり、ニキビを治したり、傷ついた細胞を修復してくれているのです。
逆を返すと、しっかりと体のメンテナンスをするためには「質の良い睡眠」が必要不可欠だということ。
では、質の良い睡眠をとるために大事なことはなんでしょうか?
ブルーライトに御用心
以前のコラムで、「夜のカフェインがなぜ睡眠を阻害するか」という話を書きましたが、それと同じくらい睡眠を阻害するものが、ブルーライトです。
ブルーライトは、パソコンやテレビ、スマホなどから出ている青い光のこと。
波長が380~500ナノメートルの光で紫外線にもっとも近く、強いエネルギーを持つため、網膜まで到達します。
実は、ブルーライトは朝日に多く含まれる光です。人間の網膜は、ブルーライトを多く含む朝日が目に入ると「朝になった」と認識し、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられて、体内時計がリセットされます。
概日リズムのイラストを見るとわかるように、規則正しい生活を送っている場合、メラトニンは22時くらいから分泌が始まり、体を休息モードへと切り替えていきます。
体が眠る準備に入っているときに、スマホやパソコンなど強いブルーライトの刺激を受けてしまうと、脳は「朝が来た」と勘違いしてしまい、メラトニンの分泌が減ってしまうのです。
その結果、「疲れているのに眠れない」「寝たいのに頭が冴えてしまった」などうまく寝付けず、眠れたとしても睡眠の質そのものが低下してしまうことに。
ぐっすりと質の良い睡眠を得るためには、ベッドに入る90分前までにはパソコンやスマホ、テレビを見るのを控えましょう。
我が家は、夕食を済ませてから入浴→就寝という生活なので、入浴後は絶対にパソコンやテレビを見ません。それほど夜のブルーライトには気を付けています。どうしてもスマホやパソコンを見ないといけない場合は、ブルーライトカットのメガネを使用するか、あらかじめスマホやパソコンを「ナイトモード」に切り替えることを強くおすすめします。
日中からブルーライトカットで、眼精疲労とバイバイ
ちなみに私は、夜だけでなく、日中からブルーライトカットを意識しています。
以前はブルーライトカット眼鏡を使用していましたが、眼鏡が当たる鼻の部分にうっすらとシミができ始めてしまったため、使用をやめました。
今は、パソコン・スマホ自体を、ブルーライトカットに設定。機種にもよると思いますが、今のパソコンやスマホは、設定画面から『Night Shift』『Blue Shade』などの名称で、ブルーライトを抑えた暖かい色の画面に設定することができます。
私自身、ブルーライトカットに設定するようになってから、圧倒的に眼精疲労が減りました。長時間パソコンと睨めっこしてコラムや台本を作成していても、目が辛くなることはほぼありません。私は本当によかったと感じていますので、良ければ試してみてくださいね。最初は画面の色が見づらいかもしれませんが、必ず慣れるので大丈夫です。
スマホ(iPhone)のNight Shift設定画面
人間は本来、朝日と共に活動し、夜になると体を休めていました。
質の良い睡眠は、真っ暗な夜間でこそ得られます。
ぜひ質の良い睡眠で、心も体も肌も、ますます美しくなってくださいね。
【参考文献】
柴田重信/小田裕昭/加藤秀夫/堀江修一/榛葉繁紀/香川靖雄,時間栄養学,女子栄養大学出版部, 2009
大塚邦明,体内時計の謎に迫る,技術評論社, 2012
古谷彰子 著/柴田重信 監修,食べる時間を変えれば健康になる,ディスカヴァ-・トゥエンティワン, 2017
明石真,体内時計のふしぎ,光文社新書,2013
産業技術総合研究所,きちんとわかる時計遺伝子,白日社, 2007
田原優,体を整えるすごい時間割,大和書房,2019有田秀穂, 自律神経をリセットする太陽の浴び方, 山と渓谷社, 2018
有田秀穂, 簡単にできる!セロトニン「脳」活性法, 大和書房, 2007
西野精治, スタンフォード式 最高の睡眠, サンマーク出版, 2017
梶本修身, スッキリした朝に変わる睡眠の本, PHPディターズ, 2017
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014参考