fbpx

六車奈々『時間割美容 世界一わかりやすい「体内時計」のはなし』

時間割美容の基本は、体内時計です。
今、体内時計を取り入れた研究がどんどん進んでいます。

例えば、私が夢中になっている時間栄養学は、従来の「何を食べるか」という栄養学に「いつ食べるか」という体内時計の視点を加えた最先端科学です。時間栄養学の具体例をあげるなら、

 

「カルシウムは夜に摂ると、効率よく骨が作られる」


です。というのも人間の骨は日中に古い骨が溶け、夜に新しい骨が作られるため、朝食で小魚や牛乳を摂ったとしても、昼間は骨が溶けている時間ため作られません。カルシウムを摂取して効率よく骨を形成するには、骨が作られる深夜から逆算して夕食に摂った方が良いことがわかっています。

体内時計を取り入れた研究は、他にも、

時間薬理学

がん細胞が活発に細胞分裂する時間から逆算して「何時に抗がん剤を投与すれば最も効果を期待できるか?」など、「薬と時間」を研究

時間運動学

「何時に運動すれば成長ホルモンが出やすいか?」など、「運動と時間」を研究

のように、世界中で研究が進んでいます。
私が考案した「時間割美容」も、まさに体内時計の視点を加え、それを時間割にしたものです。

では、どうして体内時計はこんなにも大切だと言われているのでしょうか?

 

生存戦略と体内時計

 

私たちが住んでいる地球は、「明るい昼」「暗い夜」という真逆の環境があって、「1日24時間」ですよね。季節によって、昼が長い日もあれば夜が長い日もありますが、「明るい昼+暗い夜=1日24時間」というリズムは、変わりなく繰り返されています。

 

 

こうした地球に誕生した生物は、「どうすれば生き残れるか?」という生存競争の中で、「明るい昼+暗い夜=1日24時間」という地球環境に合わせて生活することが、最も基本的な生存戦略でした。つまり夜行性なら、暗いあいだに活動して明るくなったら体を休ませる。昼行性はその逆ということ。
人間も同じです。明るい昼のうちに狩りや採集に出かけ、暗くなると安全な場所に身を寄せて体を休める。また明るくなると狩りに出かけ、暗くなると体を休める。そして、これを繰り返すうちに、あることに気付いたのです。

 

地球の時計と同じ時計を持てば、より生存競争に有利なのでは

 

これまでは「明るくなったから」「暗くなったから」のように「状況に合わせて」行動をしていましたが、自分が地球と同じ時計を持つことができれば、「あらかじめ予測して行動する」ことが可能になります。

こうして人間は進化の過程で、地球と同じ「24時間の時計」を体内に組み込んでいきました。これが「体内時計(生物時計・生体時計)」と言われるものです。

 

実は、体内時計を持っているのは人間だけではありません。馬や羊、魚、昆虫、植物など、いま地球上で生き残っている生命は全て体内時計を持っていると言われています。逆を返すと、進化の中で体内時計を持たなかった生命は絶滅したと考えられているのです。

また驚くことに、時計遺伝子が体内時計を刻む仕組みは、どの生物もほとんど一緒なのです。つまり、約5億年前のカンブリア紀(いま見られる生物が出そろったといわれる時期)以前には、すでに地球上の生物はこの仕組みを持っていたと推測でき、それほど体内時計を持つことは生存競争の基本だったということ。

地球上に誕生した生命が、生き延びるために最初に作った生理機能が生体リズムといわれています。つまり「美容・健康」よりも、まず「生き続ける」ために最も大切なことが「体内時計に合わせた生活」ということになります。

 

概日リズム

 

体内時計を獲得したことにより、計画的に一日を活動できるようになった生物たちは、さらに進化をしていきます。例えば人間でいうと、

明るい昼に活発に行動するためには・・・

・体温や血圧は何時に上げた方が良い?
・ホルモンはいつ、何を分泌すれば、元気に動ける?

暗い夜にしっかり休んで体をメンテナンスするためには・・・

・熟睡中に成長ホルモンを分泌すれば良いのでは?
・免疫細胞は何時にどの順で活発にさせよう?

 

のように、1日の行動がより効率アップするよう、ホルモン分泌や体温調節、血圧など、生理機能のほとんどをプログラミングしていったのです。こうした1日周期の体の生理的な変動を「概日リズム」と言います。人間の概日リズムは、個人差はあるものの、こんな感じ。

 

 

 

ざっと簡単に見てこんなもの。本当は、もっと細かく一日の中で変動しています。

これを見ると、冒頭でお伝えした「カルシウムはなぜ夕食に摂った方が良いのか」も、理解できますよね。骨を強化したいなら、骨が作られる深夜から逆算して夕食でカルシウムを摂取した方が効率良いのは一目瞭然。また肌荒れを治したいなら、成長ホルモンが最も多く分泌される深夜にはぐっすり眠っておく必要があることもわかります。

では、このリズムに合わせない生活を続けていくと、どうなるでしょう?
たとえば美肌を目指しているのに夜更かしを続けると、成長ホルモンもしっかり分泌されず、傷ついた細胞も修復されません。またインスリン分泌が少ない深夜にラーメンを食べると、血糖値の高い状態が続き、いずれは膵臓が悲鳴をあげてしまいます。

 

 

体のリズムを知って、なるべく自分の行動を合わせてあげると、お肌はもちろん、心も体も軽くなり、充実した日中を過ごせます。充実した日中を過ごせると、夜は質の良い睡眠がやってきます。
覚醒と睡眠は二つで一つ。このメリハリこそ、美と健康の基本だと思っています。

優秀な美容液や美顔器も、その効果を最大限に発揮させるためには、体内時計に沿った生活が基本。まずは自分が本来持っている力を最大限生かして、キレイを目指しましょう!

 

 

時間割美容は、キレイになるための最も効率良い時間と方法をお伝えしています。ぜひHP内の時間割美容コラムを読んで、ますますキレイになってくださいね。

最後に、大切なお話。実は、人間の体内時計は地球より少し長く、日本人は最新の研究で「24時間10分」だと言われています。このままでは毎日10分ずつずれて、いずれ昼夜逆転してしまうことに。そこで毎日地球に合わせて体内時計をリセットする必要があるのですが、その話はこちらに詳しく書いています。ぜひ、あわせて読んでくださいね。

 

<参考文献>
柴田重信/小田裕昭/加藤秀夫/堀江修一/榛葉繁紀/香川靖雄,時間栄養学,女子栄養大学出版部, 2009
大塚邦明,体内時計の謎に迫る,技術評論社, 2012
古谷彰子 著/柴田重信 監修,食べる時間を変えれば健康になる,ディスカヴァ-・トゥエンティワン, 2017
明石真,体内時計のふしぎ,光文社新書,2013
産業技術総合研究所,きちんとわかる時計遺伝子,白日社, 2007
田原優,体を整えるすごい時間割,大和書房,2019

Social Share Buttons and Icons powered by Ultimatelysocial