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石川小百合コラム 「 思いが伝わるトークの魔法」 #1 短いたったこれだけ?緊張しないスピーチのツボ

はじめまして。フリーアナウンサー石川小百合と申します。
ご縁があって「六車奈々の食べる美人塾」の HP 上で、『話すこと』について、コラムを書かせて頂けるという機会に恵まれました。皆様、どうぞよろしくお願いします!

最初に、私の経歴からお話しますね。
大学卒業後、ローカル局のアナウンサーからキャリアをスタートしました。フリー転向後は、フジテレビ「プロ野球ニュース」のキャスター、TBSでは長年リポーターとして全国各地を飛び回り、事件・事故・災害などの現場から生の情報を伝える仕事をしてきました。またラジオではパーソナリティーとして、3時間の生放送を10年ほど担当させていただくなど、20年ほどフリーアナウンサーとして活動。その後、大手TV通販会社に入社し、10年間、TVショッピングで商品を紹介するMCを務めさせていただきました。2021年9月現在、再びフリーになりましたが、気が付けば「伝える仕事」一筋で、30年以上の年月が流れていました。(笑)

 

 

そんな私ですが、若いころは30年以上もこの仕事を続けるなんて、想像もしていませんでした。というのも、私は「原稿を読むこと」が好きでアナウンサーになってしまったので、
フリートークと呼ばれる「話すこと」は得意ではなかったのです。

一方、一緒に採用になった同期のアナウンサーはキャラの立ったタイプ。
読むのは苦手でもフリートークがとにかく面白い。彼女が何を言っても皆がドッと笑います。

当時の私は、それはもうコンプレックスの塊。
見知らぬ土地ですっかり自信を無くし、アナウンサーになって三か月目には、退職願を書いたほどでした。幸い、三か月で退職する事態には至りませんでしたが。(笑)

黒歴史はまだあります。
フリー転向後、生まれて初めて担当したラジオ番組では、いきなり生放送のメインパーソナリティーを仰せつかりました。週2日、昼間の3時間、FM全国20局ネットの番組で、パーソナリティーは…私だけ。

今思えば大変光栄なお話なのですが、最初は、何を話していいのか全く分からずに暗中模索の日々が数か月続きました。そんな中、ある時、偉い人に呼び出され
「君の番組はつまらない」と、突然の死刑宣告を受けました(笑)
今でこそ笑い話ですが、当時は、目の前が真っ暗。私のラジオパーソナリティー人生はたった数か月で終わるのかと、かなり落ち込みました。

でも、その後、クビを覚悟で一念発起。試行錯誤を重ねていくうちに話すことが楽しくなり、スタッフやたくさんのリスナーの皆さんに支えられ、結局、その番組は10年程続きました。その後、TBSラジオでも生番組を長い間担当させて頂くことができました。

このように、もともと自分の言葉で伝えることが苦手だった私が、プロの現場で揉まれながら掴んできたことを、このコラムの中で振り返ってみることで、もしかしたら
「話すことが苦手」というお悩みを持つ皆さんへ、何かしらお伝えできることがあるのではないかと考えています。

 

「人前で自分の言いたいことが、なかなか上手く表現できない」
「あの時、もっとこんな風に伝えればよかったな」

そんなほろ苦い思いをすることって、日常の中で結構ありませんか?

 

自分の思いをもっと上手に伝えたい。
このコラムでは、そんな方々のヒントになるようなことをお伝え出来たらと思っています。

スピーチ で緊張…そんな時には

 

初回は、頭を悩ませることが多いスピーチについてお話ししようと思います。
披露宴、セレモニー、PTAの集まり等々でスピーチを頼まれた時、どんなことを考えますか?

「気の利いたことを話したい」
「できれば、少し笑いもとりたい」
そして、何より
「緊張せずに話したい」

色々考えると、気が重くなりますよね。

 

スピーチの成否はスタート次第です。
冒頭で聴衆を巻き込んでしまえば、緊張も薄れ、気持ちが乗って、思うように話しやすくなります。
いわゆる「つかみはOK」の状態にしたいわけです。
冒頭で何か気の利いたネタがあれば、それを使えばいいのですが、そういうアイデアが簡単に湧いてくれば苦労はしないですよね。

 

でも、気の利いたことを言えなくても、聴衆を味方につけるいい方法があります。
冒頭で、聴衆に「フフッ」と軽く笑ってもらえばいいのです。
それによって、自分と聴衆の距離をぐっと縮めて、仲間内で話すような雰囲気を最初に作ってしまうのです。

私の経験上、フフッと笑ってもらう一番のカギは、「意外性」だと思っています。

 

披露宴やセレモニーでスピーチをする時は、普段からスピーチ慣れしている人でない限り、ものすごく緊張しますよね。そして、聴衆も「この人は何を話すのだろう」と身構えて聞いていることが多いです。そんな緊張感マックスの時には、いきなり原稿通りのスピーチに入らず、最初に素の自分をさらけ出してしまいましょう!

 

例えば、こんな感じ。
原稿を手にマイクの前へ立った時、わざと大きく深呼吸をしてから、

「すいません、今、すごく緊張しています」

と、今のありのままの状態を伝えるだけで、おそらく会場がドッと、あるいはフフッと笑ってくれます。
笑ってくれたらこっちのもの。自分と聴衆の距離はぐっと縮まります。

聞き手が
「これから、この人はきちんと書かれた原稿を読むのだろう」
と思っているところに、ポロっと素の自分を出すことで、そこに意外性が生まれます。
すると、何だか妙に親しみやすさが出てくるのだと思います。

 

私は心理学を勉強しているわけではないのですが、これは経験で掴んだ一つのテクニックです。実は、この『意外性が親近感を生む』ということを裏付けるエピソードがあります。

現東京都知事の小池百合子さんが、2003年に当時の小泉内閣の下で環境大臣として初入閣をされた時の事。私は当時、TBSのリポーターとして、小池新大臣の執務室にお邪魔して、単独インタビューをする機会を頂きました。

ガチガチの報道番組ではなかったので、どちらかというと新大臣の素顔がのぞけるようなインタビューを撮ってきてほしいとプロデューサーから注文が出ていました。

それまでにインタビュー取材はそれなりに経験を積んでいた私でしたが、大臣へ直接インタビューができる機会はめったにないので、やはり緊張していました。

「大臣にインタビューするのだから、くれぐれも失礼の無いように、でも、聞きたいことはきちんと聞かなくちゃ」

様々なことが頭を駆け巡っていました。

そうしているうちに、いよいよ部屋に通され、インタビューがスタート!
小池さんはデスクの椅子に座っていらっしゃいました。
緊張しながら、まずは質問を一言。

 

「大臣の椅子の座り心地はいかがですか?」

そう口に出してしまってから、すぐに後悔。

「いくら場の空気を和まそうと思ったからって、私ったら、なんて月並みな質問をしてしまったのかしら?おバカなリポーターだと思われたらどうしよう…」

心の中でドキドキしながら返事を待ちました。
すると、小池さんが笑顔で一言。

「椅子の座り心地?…いーっすね!」

 

小池マジック!
お陰様で、一気にその場の空気が和みました。その後はプロデューサーの注文通り、小池さんの素顔が垣間見えるコメントも頂いて、無事にインタビュー取材が終了したのでした。

 

これは、「大臣なのだから、きっと堅い話で終始するに違いない」と考えていた私やスタッフに対して、小池さんが「意外性」を示したことで、急速に聞き手と話し手の距離が縮まったというエピソードです。
もっとも、この時、緊張していたのは小池さんではなく私たちの方。
聞き手の私たちの張り詰めた空気を、小池さんの放ったこの一言が一瞬で変えてしまったのでした。

 

堅苦しいスピーチの場などで自分が緊張している、もしくは会場の空気が張り詰めていると感じた時には、最初に「意外性」、具体的には「素の自分」をちらりと見せる工夫をしてみてください。
そのためには、自分が今、感じていることをストレートに口に出すことが一番簡単です。

 

「すみません、今、とっても緊張しています」

といってみたり、更にもう少し踏み込んで、

「実は、大勢の人の前で話をするのは中学校の研究発表以来なもので…今、手が震えています」

など、今の自分を実況してみるのもいいでしょう。
その時に、少しだけでも笑顔で話せたら最高です。

そして、初めにマイクの前で大きく深呼吸することを、くれぐれもお忘れなく!
場合によっては、深呼吸だけで聴衆が笑ってくれることもありますし、何より、深呼吸をすると気持ちが落ち着きますから。これは、リモートの場合でも同じです。

こうしてリアルでもリモートでも場の空気が少し和んだところで、原稿の内容に入っていけばよいのです。
あとはリラックスして、ご自身の思いを存分に伝えてください!

 

スピーチの冒頭に気の利いたことが言えれば、それに越したことはないのですが、思い浮かばない時は緊急避難措置で使えるテクニックですので、良かったら覚えておいてくださいね。聞く側との距離が縮まって、和やかな雰囲気でスピーチをすることができると思いますよ!

 

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