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さて、平将門公 北斗七星伝説の旅。
北斗七星伝説とは、『平将門公ゆかりの社寺などを線で結ぶと、北斗七星の形になる』というもの。
これは、1993年に加門七海氏が『平将門は神になれたか』という著書の中で書かれたもので、鳥越神社、兜神社、将門塚、神田明神、筑土八幡神社、水稲荷神社、鎧神社を線でつなぐと、東京の地図の上に『北斗七星』が生まれるというものです。北斗七星は、平将門公が信仰した妙見信仰に通じるもの。
ところが、です。
前回の旅で、筑土八幡神社さんを訪ねたところ、将門公とは全く関係が無い神社では無いですか!!!
では、なぜ将門公と無関係の筑土八幡神社さんが、北斗七星の一つに含まれているのか???
その鍵は、どうやら築土神社さんにあるようです。
こちらをご覧ください。
出典:江戸名所図会
江戸名所図会には、筑土八幡神社と築土神社が仲良く並んでいるのがわかります。両社は、江戸時代から約300年、隣どうしにあったのですね。
しかも築土神社は御祭神が、平将門公。
ということは、築土神社と勘違いして筑土八幡神社が北斗七星伝説に入れられてしまったのだろうか???
さぁ!いざ、築土神社さんへ!!!
新宿駅で都営新宿線に乗り換えて、九段下を目指します。
ちなみに朝の新宿はすごい人。みんな早足で険しい顔をして、殺伐とした感じ。
さぁ!九段下に着きましたよ〜!!!
九段下は、靖国神社や日本武道館など、都心のど真ん中。すごい駅です。
通りも何もかも、とっても大きくて広いです。
そんな九段下から徒歩1分の立地に、築土神社さんはあります。
私でも、迷わずあっという間に到着しました。
こちら!!!
すごいでしょ!?!
なんと、コンクリートビルの中に、築土神社さんはあるのです!!!
九段・アイレックスビル。
こちらの中に、築土神社さんが!!!
奥に見えるのが、御本殿。こんな近代的なコンクリートビルと神社の組み合わせなんて、なかなか見ない光景ですよね。これはすごいわぁ!!!
さぁ、ここからは、宮司の多湖功(たごいさお)さんにお話をお伺いしました。
六車:将門公が御祭神ということですが・・・
多湖さん:940年、ちょうど1080年前に、京都から将門公の首が飛んできたということで、お祀りしたのが始まりと言われています。
六車:940年というと、将門公がお亡くなりになった年ですよね。3月にお亡くなりになって、首が飛んだという伝説もありますが、まさにその首が・・・ですか?_
多湖さん:そう言われてお祀りしたと、書物に書かれているものもあります。
六車:へぇぇぇぇぇぇ!
すごいよね!!!伝説が、伝説ではないという話ですよ!!!
六車:首桶があったとか・・・?
多湖さん:私が生まれる前ですから…。(首桶が)あったということで、それを御祭神にしてたのですから、あったのかもしれませんが、戦争で全て焼けてしまって今では全く何もわかりません。
おぉぉぉぉぉぉ。
戦争なんて、本当に大バカだ!!!
これまでも色々な神社やお寺でお話を聞かせていただいたけど、大切な資料がたくさん戦争の犠牲になっている。これは本当に悲しいことだ。
多湖さん:写真はありますよ。
六車:拝見しました!!!震えました・・・!
多湖さん:(笑)
その写真とは、こちら。
築土神社さんのHPからご覧いただけます。
すごいでしょ?
あまりの凄さに、恐怖すら感じますよね。
六車:そうかぁ。では、940年に将門公の首をお祀りして神社の始まりとなったわけですが、その時の神社名は?
多湖さん:津久戸明神。「つくど」の字も違いますよね。
六車:今は、「築土」ですが、、、
多湖さん:「津久戸」と書いて、「津久戸明神」でした。
六車:それが940年ですね。
そう。これが、築土神社さんの始まり。ここから築土神社さんは、転々とお引っ越しをされます。
多湖さん:一番初めは、江戸城内。将門公の首桶を祀ったのが始まり。その後に、徳川家康公が、江戸城から見て鬼門とされる筑土八幡町に移ってくれということで、まさに筑土八幡神社の隣に移しました。
六車:なんと!!! 鬼門とされる場所だから、そっちに行ってという事だったのですね!!!
多湖さん:そうです。家康公が。そういうふうに考えたのでしょうね。
六車:将門さん、守ってねと?
多湖さん:そうそう。そういうことだと思います。
六車:そういうことか〜!!!なぜ、筑土八幡へお引っ越しされたのか理由がわからなかったのですが、そういうことかぁ!!!江戸城を守ってねということだったんだ!!!
こうして300年もの間、築土神社は筑土八幡神社と並ぶこととなります。
これが、先程の江戸名所図絵ですね。
多湖さん:それで、300年ほど筑土八幡町にいたわけですが、戦争でことごとく燃えてしまったので、いっそのこと氏子内に移しましょうということで、また引っ越しをすることになりました。
六車:なるほどなぁ。だけど、神社で転々と引っ越しをされるなんて、そう無いですよね。
多湖さん:建て替えはあると思いますが、移すというのはほとんど無いでしょうね。
六車:そりゃそうですよね。その度に御祭神に御祈祷してですものね。
多湖さん:そりゃ、神社を移すというのは大変ですよ。
六車:それを何度もするって、本当に大変ですね。
多湖さん:ここで四番目の場所になるのですよ。
六車:え?四番目? 一番最初が江戸城の中、二番目が筑土八幡町、そして・・・
多湖さん:戦争後、昭和20年に、今の千代田区富士見に約9年間、仮御殿で移して・・・
六車:えぇぇぇ!?!
多湖さん:その後昭和29年に今の場所に移したので、四回引っ越しています。
ひやぁぁぁぁぁぁ。
それはすごい!!!
六車:私、9年間のワンクッションを知りませんでした。筑土八幡町のあとはすぐにこちらだと・・・
多湖さん:そこがたまたま区有地だったのかなぁ。そこに移されて・・・。今は中学が立っちゃったけどね。
六車:そうかぁ。この辺りは都心だから、色々とあるんだなぁ。
多湖さん:都心ですからね。まぁ大変は大変ですよね。
だって、江戸城の本当に目の前だもの!!!
九段下徒歩1分て、すごいところにあるよね!!!
多湖さん:まぁビルの中だから・・・
六車:それもビックリしました!ビルは、どうして・・・?
多湖さん:都心ですから。バブルの時に人口が都心から郊外へ移ってしまって、いわゆる氏子の方が減少してしまって、神社の維持運営ができなくなり、どうしようかと。じゃあオフィスビルを建てて、その収入から神社を維持していくしか方法はないだろうということで。氏子の総代さんと話し合って、2年間かけて作りました。
六車:そういうことかぁ。時代ですねぇ。
多湖さん:そうですね。
今や、遠いところからこの地に通う人が増えた時代。
この辺りは、本当に大きな建物とオフィスビルが立ち並ぶ。
良くも悪くも、時代の流れなんだなぁとつくづく思った。
さて、改めて御祭神をお伺いしました。
築土神社さんは、三柱の御祭神が祀られています。
・天津彦火邇々杵尊(あまつひこほのににぎのみこと) ※天照大神様のお孫さま
・平将門公
・菅原道真公
六車:将門公の御利益は?
多湖さん:昔ね、大蔵省の工事の時(首塚)に事故があったりしたので、工事安全の御祈祷もいらっしゃいますし、あとは勝負の神様で「勝守(かちまもり)」を受ける方は多いですね。
その勝守、かなり人気があるそうですよ。
こちらから、ご覧いただけます。
六車:代々、こちらを守っていらっしゃるのですか?
多湖さん:そうですね。系図を見ると、ほとんど親族関係ですね。
六車:何か、将門公についてナイショのお話など聞いたことあったりしますか?
多湖さん:それは無いですね〜。
うーん。ザンネン!!!
六車:北斗七星伝説については、どう思いますか?
多湖さん:うーん(笑)
六車:でも先ほどのお話だと、江戸城から見て鬼門である筑土八幡町へ行ってくれとお願いをされたということですから、やはり筑土八幡神社と築土神社を間違えたのでは無いかという気はしますよね。。。
多湖さん:まぁ、字も似ていますしね。今でも間違える方は結構多いですよ。
さぁ、ここでもう一つ。
こちらでは、先ほどもお伝えした通り、菅原道真公もお祀りされているのです!!!
六車:まさか、こちらでも菅原道真公をお祭りされていますが、「将門公が道真公の生まれ変わり」というのは、どう思われますか?だって、実際にこちらにも道真公が御祭神でいらっしゃいますよね!!!
多湖さん:うーん(笑)なんて言ったらいいのかなぁ。。。道真公を相殿としてお祀りしたのは、最近のことなんですよね。戦後の話。
六車:どういう経緯で?
多湖さん:それがねぇ、宮司をしているのだけど、どういう経緯で道真公をお祀りするようになったかが、わからないのですよ。どうして菅原道真公をうち神社の三柱の一つに加わったが、よくわかっていないのです。
ほらぁ!!!!!
やっぱり!!!!!!
鎧神社さん然り、神田明神さん然り、偶然というには不思議すぎるじゃ無いですか!!!
六車:そう思うと、やっぱり道真公と将門公は、何かしらのご縁は絶対にありますよね!!!(←コーフン!!!)
多湖さん:そう言われれば、そうかもしれないね。
いやぁ。平将門公と菅原道真公。本当に不思議なご縁。絶対に何かあると思うのだけどなぁ。
ということで、多湖さん。朝のお忙しいところを、本当にありがとうございました!
興味深いお話をたくさん聞かせていただきました!
さて私は一人、御本殿に。
いかがですか?
めちゃくちゃカッコイイ御本殿でしょう!?!
しかも、御本殿を見上げると、上にはオフィスビルが!!!
こんな景色、本当になかなか見られません。
心静かに、手を合わせました。
時代の流れとともに、転々とされてきた築土神社さん。
今もしっかりとその存在感を放ち、凛としていらっしゃる築土神社さん。
カッコイイ!!!
本当に、「カッコイイ!」という言葉がピッタリな、強く凛とした神社でした。
〈参考〉
築土神社 公式HP