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平将門公 北斗七星伝説の旅。
北斗七星伝説とは、『平将門公ゆかりの社寺などを線で結ぶと、北斗七星の形になる』というもの。
今回の『ななたび!』も、鎧神社さんの別当寺である圓照寺さん。
江戸名所図会にも、二つは近いところにあります。
ところが、です。
実は、二つ仲良く並んだ鎧神社さんと圓照寺さん。その関係は・・・
鎧神社➡平将門公の鎧が納められている
圓照寺さん➡平将門を討伐した藤原秀郷さんが建てたお寺
なんですよね。
そこのところは、前回の放送で非常に面白いお話をお伺いしましたので、そちらをお聴きいただくとして、さて今週。
圓照寺さんは、前述のように、平将門公を討伐した藤原秀郷さんが建てたお寺。
そんな環境にお生まれになった篠山さんは、どんな思いでいらっしゃるのだろう???
その胸の内をお伺いしたいと思い、お話をさせて頂きました。
こちらが、圓照寺さんの副住職・篠山昌弘(しょうこう)さん。
六車:篠山さんが副住職、お父様が御住職ということで、代々お寺を守っていらっしゃるのですか?
篠山さん:私が33世になります。
六車:ひえ~~~っ!!! すごい! 本当に歴史ありますね!!!
篠山さん:とはいえ、平安時代からずっと篠山家が・・・というわけではないです。今、お寺は世襲制が多いですが、昔は弟子を取って、その中から高僧になった人にお寺を任せてきましたので。
なるほど~。
にしても、平安時代から代々続いてきたことが、もう凄すぎるよね。
六車:『平将門の乱』は、誰もが知っている歴史事項であり、圓照寺さんはそこに関係するお寺。そんな環境でお生まれになった篠山さんは、それについて興味を持って調べたとか、ありますか?
篠山さん:私は歴史がとても好きで、特に有名な武将が好きです。なかでも平将門公は、貴族文化から武将が中心になって治めていく…そういう時代の始まりですので、私も将門公は好きなのですが・・・。まぁ・・・あの、ちょっと・・・その方を討伐してしまった・・・方が建てたお寺に生まれていますので・・・ちょっと難しいですけれど、、、(苦笑い)
ですが、歴史の重要なポイントに関わったお寺に生まれたことは、一つ誇りに思っているところです。
六車:そうかぁ。篠山さんが何かをしたわけじゃないけれど、それでもやっぱり、お生まれになった立場上、複雑な思いはおありなんですね。
篠山さん:そうですね。平将門公は、とても人気がありますよね。そういう方を討ち取ってしまった方が・・・でも、あの、藤原秀郷さんも調べていただくとわかると思いますが、伝説の武将としていろんな武勲があって、本当にすごい方なんですけどね。。。
六車:俵藤太として、竜宮城も行きましたよね!
篠山さん:あはは。そういう言い伝えもありますね(笑) ですから、やはり伝説に彩られた舞台にあるのかなぁと。
六車:いやぁ~。でも私、圓照寺さんの副住職である篠山さんが『将門公が好き』と聞いて、すごく嬉しい気持ちになりました。
篠山さん:(笑)
そしてここから、篠山さんは、熱い胸の内を語ってくださいました。
篠山さん:将門公は、武将が国を治める時代の始まりの方ですよね。その方を討伐した藤原秀郷さんや平貞盛さんたちが、これから武家の時代を築いていく・・・というのは、皮肉だなぁと。自分たちのルーツの人間を討伐してしまったわけですから・・・。
六車:本当に、そうですね。。。
篠山さん:平安時代は貴族文化で、貴族が一番偉い時代。ですが、貴族なんて全体の1割にも満たないくらいだったと思います。そんな中で、農民の方たちから絶大な人気を誇った平将門公という存在があって・・・。朝廷に使えていた平家や源家は、疑問に思ったと思うんですよね。
『平将門さんみたいな人を、本当に討ち取ってよいものだろうか?』と。。。
そして、
『朝廷に仕えるのは、本当に正しい道なのだろうか?』
『自分たちが中心になって、国を良くしていく必要があるのではないだろうか。』
と思う契機になったのかなと思うんですよね。
六車:本当だ・・・。その通りですね。そう考えるきっかけになったでしょうね。
篠山さん:ですから藤原秀郷さんも、喜んで討伐に行ったとは思えないんですよね。朝敵とみなされてしまったが故に、泣く泣く・・・と言いますか・・・。気持ちよく討伐したかと言うと、どうなのかなって。
六車:本当に、そうですね・・・!命を受けた以上、討伐をしなければならない秀郷さんですが、心の中では・・・将門公にしても、お互いに認め合っていたかもしれませんよね。『次、こいつと会うときには味方でいたい・・・』みたいな。
篠山さん:タイミングがちょっと違っていれば、もしかしたら二人で一緒に朝廷を倒していたかもしれません。
六車:本当にそうですね。そうなっていたかもしれませんよね。・・・そう思うと、本当に皮肉というか・・・。でも、将門公が討伐されたからこそ、歴史は動いたのでしょうし・・・。
篠山さん:そうですね。
六車:なんとも・・・本当に、何ともいえない気持ちになりますね。あぁぁぁぁぁぁ。(←見悶え)
篠山さん:本当に、なんともいえないですよね・・・。
六車:そして今度は徳川の時代がやってきて、北斗七星伝説が本当かどうかはわからないですけど、平将門公のお力をお借りして・・・ってなるわけですからね~!
篠山さん:あはは。
本当に今回は、心が大きく揺さぶられました。
私はこれまで、平将門の乱については、将門公側からしか考えたことがありませんでした。
ですから藤原秀郷さんは、にっくき相手。自分の出世のために、嬉々として将門公を討ちに行ったと思っていました。
「コイツのせいで、将門公が・・・!!!」
と、大嫌いでした(笑)
ところが今回、初めて相手側・・・つまり藤原秀郷さん側から平将門の乱を捉える篠山さんとお話をさせていただいて・・・。
まず篠山さんは、『将門公が好き』と仰いました。そして、
『藤原秀郷さんも、平将門公と同じように、男気があって、腕っぷしも強い方。そんな方が、国を良くしようと立ち上がっている将門公を、喜んで討ちに行ったとは思えない。』
この言葉に、ハッとさせられました。
歴史の真実は、誰にもわかりません。
秀郷さんは、嬉々として討ちに行ったかもしれないし、
『コイツだけは討ちたくない!』と思いながら、討ったかもしれない。
本当のところは誰にもわからないですけど、
平将門の乱から1000年以上も経って、秀郷さんが建てたお寺に副住職としていらっしゃる篠山さんのこの気持ち。私は、大きく胸を打たれ、なんともいえない気持ちになり、涙が溢れそうになりました。そして、
『秀郷さん!ごめんなさい!!!』
って(笑)
篠山さんが思っている通りであるといいなぁ。
平将門公と藤原秀郷さん。
お互いに言葉を交わすことはなかったもしれないけれど、お互いに認め合って・・・
そんな風だったらいいなぁって、強く思いました。
今回、圓照寺さんに足を運んで、篠山さんの熱い思いを聞くことができて、本当に良かった!
篠山さん、本当にありがとうございました!!!
篠山さんの熱い思い。ぜひ、ラジオでお聴きくださいね。
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