「アソコの匂いで悩んでいる女性、多いらしいよ。」
そんな話を、美容関係の知人より聞きました。
膣の匂いが気になるために、シャワーを浴びるとき、膣の中まで指を入れてキレイに洗う人が結構多いとのこと。
「えぇ~っ!?そんなの、絶対に良くない!」
思わず言葉が出ましたが、それ以来、撮影現場や美人塾、講演など、様々なところで女性たちにリサーチをしてみたところ、想像以上に多いことにビックリ!
膣の中までシャワーを入れて洗っていたり、朝晩2回も石鹸を付けて膣内を洗っている人がいて驚愕でした。
たしかに、自分の膣の匂いが気になったら、『何とかしたい』と思いますよね。
でも、ちょっと待って。
洗いすぎることで、かえって逆効果になっているかもしれません。
膣のガードマン『デーデルライン桿菌』
私たちの膣の中には、『デーデルライン桿菌』という乳酸菌が常在しています。
『デーデルライン桿菌』は、膣内のグリコーゲンを食べ、そのお礼にと乳酸を作り出します。乳酸は、酸性。このおかげで膣内は強い酸性に保たれ、雑菌から守られているのです。したがって多少の雑菌が入ってきたとしても、自力で克服することができ、これを『自浄作用』と言います。
ところが。
私たちの膣には、こんなに頼もしいガードマンがいるにも関わらず、
頻繁にシャワービデで洗い流したり、膣の中まで念入りに洗浄すると、そのガードマンまで洗い流してしまうのです。
『デーデルライン桿菌』がいなくなると、膣内で乳酸が作られなくなり、膣内は酸性から中性へと傾き始めます。すると雑菌が増殖しやすくなるため、膣炎になったり、匂いの元になってしまうこともあるのです。
もちろん、不潔は良くありません。
ですが清潔にしすぎて常在菌まで洗い流してしまえば、結果的に雑菌の増殖を増やし、衛生を保てなくなってしまうと私は思います。まさに、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』です。
洗いすぎて・・・
かくいう私も、そのような経験をしたことがありました。
10年以上前、上京して移り住んだマンションが、温水洗浄便座のついていないトイレでした。しばらくはそのまま使っていましたが、温水洗浄に慣れていた私は気になってしまい、ほどなく温水洗浄便座を購入しました。
すると、トイレタイムがパラダイス!
あぁぁぁぁ。温水洗浄って、なんて清潔でキモチイイのだろう!
久々の爽快感に嬉しくなってしまった私は、オシッコの時も
「清潔だから、この方がいいよね!」とビデを使うようになりました。
そこから1か月ほどたったある日。
オマタがカユイ!!!!!
なんだろう?
身に覚えがない。。。
しかしカユミはおさまらず、このまま酷くなってもイヤなので、仕方なく女医さんがいる婦人科を探して駆けつけました。
「オマタの洗いすぎね。」
診察後、開口一番に言われた言葉。
毎回、ビデを使っていると話したら、
「あなた、そんなことをしたら自分を守ってくれている良い菌まで流れちゃうわよ!」
と、お叱りを受けました。
「オマタにはね、自分でバイキンをやっつける力があるの。だからオシッコの度にビデを使う必要なんて無し!ビデを使うのは、生理中のように汚れが気になるときだけで大丈夫です。」
なかなかコワイ女医さんで、ピシャリと怒られたなぁ(笑)
美人塾を始めていろいろなことを勉強した今になってみると、バカなことをしたなぁと思いますが、当時はそれが清潔で良いことだと思い込んでいたのですよね~。
結局、ビデを頻繁に使うことをやめたら、あっという間に治りました。
清潔を保つために、温水洗浄を使うのは良いことだと思います。
ですが清潔にしすぎることは、自浄作用を弱めてしまうことになるのだと実感しました。
何ごとも『ほどほど』ですね。
私たちの体には、本来備わっている自浄作用があります。
私は、自分の体を守ってくれている常在菌たちを大切にして、本来備わっている力を信じてあげたいなぁ。
おかしいなぁと思ったら、自己判断せずに、必ず病院へ!
とはいえ、ここまでの内容は、『膣に違和感がない場合』のお話。
もし、
「匂いが気になる」
「おりものがおかしい」
と思ったら、自己判断せずに、まずは病院へ行ってくださいね。
もしかしたら洗いすぎが原因ではなく、思わぬ病気が潜んでいるサインかもしれません。
受診して、何でもなければ安心できますし、
万が一にも病気だった場合、『早期発見、早期治療』がベストですからね。
体のサインに耳を傾けてあげられるのは、自分自身だけ。
おかしいなぁと思ったら、必ず早めに病院へ行きましょう!
≪参考文献≫
藤田紘一郎(2018)新装版『腸内革命』海竜社.
藤田紘一郎(2011)『免疫力をアップする科学』ソフトバンククリエイティブ株式会社.
藤田紘一郎(2011)『アレルギー9割は腸で治る!』大和書房.
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働科学研究費補助金を受けた研究班による作成、運営)
http://w-health.jp/introduction/ 2020.6.1.アクセス
早川 智『ヒトの子宮炎および膣炎における発症要因と治療 ―女性生殖器の粘膜免疫から―』日本家畜臨床感染症研究会誌 6巻3号 2011
http://www.kachikukansen.org/kaiho/PDF/6-3-107.pdf#search=’%E3%83%92%E3%83%88%E3%81%AE%E5%AD%90%E5%AE%AE%E7%82%8E%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%86%A3%E7%82%8E%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%99%BA%E7%97%87%E8%A6%81%E5%9B%A0%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82′ 2020.6.1.アクセス