『しっかり寝たはずなのに、どうしてダルイのだろう?』
『やる気がおきない』
なぁんてスッキリしない毎日を、私は送っていません。これ、自慢。
いつでもヤル気満々!元気だけが取り柄の46歳なのだ!
その秘密は、時間栄養学に基づいた『朝ごはん』の食べ方。
六車奈々の時間割美容でも、最も大切なのは
『ベストタイムに朝ごはんを食べること』だとお伝えしています。
では、朝ごはんの『ベストタイム』はいつなのでしょう?
日本人の体内時計
日本人の体内時計の平均は、『24時間10分』と言われています。
しかしこれは、あくまで平均。
これよりも、さらに長い人もいれば、短い人もいるとされています。
ところが私たちが住んでいる地球は、『1日24時間』。
ということは、ですよ。
人間が自分の体内時計で生活をしたとすれば、毎日10分ずつずれていき、
いずれ昼夜逆転するはずですよね?
しかし、そうはなりません。
なぜなら私たちは、無意識のうちに『あること』をしているから。
体内時計のリセット
『あること』とは、太陽の光を浴びること。
これだけで脳は「朝が来た!」と理解して、自分の体内時計を地球に合わせてリセットします。
朝日をキャッチするのは、目。
朝起きてカーテンを開け、目が朝の光をキャッチすると、「朝が来たよ~。」という情報が脳の『視交叉上核』という所に伝わります。視交叉上核には『中枢時計遺伝子』と呼ばれるものがあり、これが体内時計を形作っています。
中枢時計遺伝子は朝の光をキャッチすると「朝が来た!」と認識し、体内時計を地球に合わせてリセット。こうして毎朝日光を浴びることによって体内時計がリセットされ、私たちは昼夜逆転することなく生活ができます。したがって、これまでは
「体内時計をリセットするためには、朝日を浴びましょう!」と言われてきました。
ところが、問題はここから。
近年の研究で、実は脳以外にも時計遺伝子が存在することがわかったのです。それが『末梢時計遺伝子』と呼ばれるもので、胃や腸、肝臓、さらには血管や皮膚など、ほぼ全身の細胞に存在しています。
では『脳にある中枢時計』と『全身の末梢時計』は、どういう関係でしょう?
基本的には中枢時計がマスタークロックとして、末梢時計をコントロールしています。中枢時計遺伝子が存在する視交叉上核をぶっ壊すと、末梢時計が時計を刻めなくなることから、その関係性は明らか。
ところが1つ、中枢時計にコントロールできないことがあります。
それが、朝の時計のリセットなのです。
さて、もう一度想像してみましょう。
あなたは朝起きてカーテンを開け、朝日を浴びました。この時、体内時計がリセットされるのは、脳の中枢時計だけ。全身にある末梢時計は、まだ24時間10分で時計を刻んでいるのです。
抹消時計遺伝子のリセット
ではどうすれば、末梢時計をリセットできるのでしょうか?
実は、朝ごはんを食べるとリセットされることがわかりました。
さぁ、もう一度シミュレーション。
せっかくですので、競馬実況のイメージでお読みください。
「第1レースは、『朝ごはんを食べたで賞』。
さぁ、スタートしました!
1枠1番ロクシャナナが、朝7時に起きてカーテンを開けました!
まぶしいぞ!まぶしいぞ!これが朝日だ!朝の太陽だ~!
お~っと!目から朝日をキャッチしたロクシャナナの中枢時計遺伝子が、地球の時計に合わせて、
たった今、リセットしました!
続いて、朝ごはんを食べるロクシャナナ。
今日のご飯は何だ?ツナおにぎりだ!味噌汁もあるぞ!これはヨダレが出そうです!
おおっと!ここで、ロクシャナナの末梢時計遺伝子が動き始めました!
素晴らしいです!素晴らしいです!
これで『地球』と『脳』、『全身』の時計が1つに揃ったぞ~!!!
しっかり覚醒したロクシャナナは、1着でゴールイン!
今日も絶好調な一日を送ります!」
というわけです。
つまり『中枢時計』と『末梢時計』の両方をリセットするためには、『光』と『朝食』が必要。
では、もし朝ごはんを食べなかったらどうなるでしょう?
再び、競馬実況でお楽しみください。
「第2レース『朝ごはんを食べなかったで賞』が、スタートしました!
さぁて1枠1番ロクシャナナが、朝7時に起きてカーテンを開けました!
まぶしいぞ!まぶしいぞ!これが朝日だ!朝の太陽だ~!
お~っと!目から朝日をキャッチしたロクシャナナの中枢時計遺伝子が、地球の時計に合わせて、たった今、リセットしました!
続いて、朝ごはんを食べるか?ロクシャナナ。
いや、今日は食べない!二日酔いだ!朝ごはんを抜いて家を出たぞ!
おおっと!朝日だけでは、ロクシャナナの末梢時計遺伝子が動きません!
頑張れ!頑張れ!末梢時計遺伝子!
しかし全く動かない末梢時計遺伝子!
ナント!体の中で、中枢時計と末梢時計の時差ボケが起きてしまっているぞ~!!!
これでは力が出ない!ヤル気も出ない!
ロクシャナナ、体内時計の時差ボケにより、やる気を失くしてゴロ寝だ~っ!!」
というわけです。
つまり自分の中では『朝を抜いて、昼ごはんを食べた』つもりでも、体にとっては、
朝起きて初めて食べるものが朝ごはん。
そもそも朝ごはんというのは、英語で『breakfast』。
要するに、『fast(絶食)』を『break(破る)』のが『breakfast(朝ごはん)』ということですからね。
朝ごはんを食べなかった場合、朝7時に朝日を見てリセットした脳の中枢時計と、昼12時に初めて食事をしてリセットした全身の末梢時計では、5時間もの時差ボケが起きてしまっているということなのです。
この体内時差ボケが、「なんかだるい」「やる気がおきない」「イライラする」など不定愁訴の原因、今では生活習慣病など様々な病気の原因とも言われています。
起きて朝日を感じたら、1時間以内に食べる
まず健康で美しくあるためには、『地球のリズム』に同調すること。
『地球の時計』『脳の時計』『全身の時計』この3つの時計がキチンと揃うと、心も体も軽く、日中はベストパフォーマンスができます。日中、存分に仕事や勉強や遊びができれば、夜には自然と質の良い睡眠がやってくるはず。
『覚醒』と『睡眠』のメリハリこそ、美と健康の基本です。
そのためには、『起きて朝日を感じたら、1時間以内に朝ごはんを食べること』が、最も大切。
『いつ、食べる?』を侮ることなかれ。
明日からは、朝起きて光を感じたら、1時間以内に朝ごはんを食べてみてくださいね。
え?何を食べればよいかって?
それは、次回のお楽しみ~!
≪参考文献≫
大塚邦明(2012)『体内時計の謎に迫る』技術評論社
柴田重信 小田裕昭 加藤秀夫 堀江修一 榛葉繁紀 香川靖雄(2009)『時間栄養学』女子栄養大学出版部
古谷彰子著 柴田重信監修(2017)『食べる時間を変えれば健康になる』ディスカヴァ-・トゥエンティワン
田原優(2019)『体を整えるすごい時間割』大和書房
産業技術総合研究所(2007)『きちんとわかる時計遺伝子』白日社
日本時間生物学会誌「時間生物学」Vol.19,No.1(2013)羽鳥恵『外界刺激による概日時計の調節機構』http://chronobiology.jp/journal/JSC2013-1-003.pdf
2020.3.24.アクセス
National Geographic Webナショジオ 研究室に行ってみた 国立精神・神経医療研究センター 睡眠学 三島和夫 『第2回 体内時計25時間はウソだった!』 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20121203/332679/?P=3
2020.3.24.アクセス